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[コメント] ふるえて眠れ(1964/米)

順当に行けばベティ・デイヴィスの一人舞台となるはずなのだが、アグネス・ムーアヘッドは虎視眈々とデイヴィスを喰ってやろうと狙っているし、終盤にかけてはオリヴィア・デ・ハヴィランドも猛追を見せてくるのだからスリリング極まりない。鉈の振り上げや階段の垂直俯瞰などショット単位では『サイコ』の影響も窺える、かも。
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**ネタバレ注意**
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オープニング・タイトルの出方が格好よいなあとか階段のカーブの度合いが最高だなあとかジョージ・ケネディブルース・ダーンが出ているだけでなんだか嬉しくなるなあとか黒白画面の造型法にかけては時代的に絶頂を迎えていたと思わしめるほどだなあとか、云いたいことは多いのだけれども、何と云ってもラストシーンの情感(?)に私はたまげた。それはとりわけセシル・ケラウェイ-デイヴィス-保安官ウェズリー・アディの切り返し、あるいはデイヴィスの視線自体がもたらすもので、「いろんなことがあったけれども、ま、これでよいのだ!」といった感じの雰囲気。ハッピー・エンディングや大団円と云ってしまってもよいものなのか適当な言葉が見つからないのだが、とにかく陰惨さとは懸け離れていて爽やかですらある。『何がジェーンに起ったか?』のラストが極めて技巧的なのに比べ、こちらは技巧的なのか力業なのかそれとも偶然の産物なのかさえも判じかねる、ちょっと体験したことのないエンディングだ。魂抜かれました。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ジェリー[*]

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