[コメント] 人狼 JIN-ROH(1999/日)
この映画は確かに近未来でありSFであるが、モロ現実的な表現が目をみはる。これこそが押井守の真骨頂だ。画面をさりげなく通過する風や爆発音、人物の影など、そこのは正に現実そのものが表現されている。この表現方法はアニメという手法による実写演出であって、アニメであることを必ずしも必要としてはいないようである。
ディズニーやジブリにおいても非現実的な現実描写は常に意識されるものだが、押井の描写はそれとは違う。明らかに現実(実写)を投影しようとしていることが明白なのだ。
それと平行して我々はいつ頃からだろう、実写の中にもSFXやVFXのような手法でアニメと接する機会が限りなく増大してしまった。『スターウォーズ・ファントムメナス』を思い起こせばわかる。我々が幼い頃に見た『シンドバッド』や『ゴジラ』ではなく、むしろ『101匹わんちゃん』などディズニー映画のような表現が実写映像の中にとけ込んでいる。とけ込んでいることすら気づかないほどである。
しかしこれらは間違いなくアニメだ。『クローンの逆襲』のヨーダはアニメなのだ。
『人狼』の魅力はそんなことではなく、戦争現実を臨場感たっぷりに描いている魅力だ。大きく俯瞰的な見地からすれば「だから何なの??」という終わり方ではあるが、押井の魅力はたっぷりの作品であったことに間違いはない。
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