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[コメント] 人狼 JIN-ROH(1999/日)

ねじくれ曲がりつつもベタなラヴストーリー(再見002/02)→
秦野さくら

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







激しい殺傷シーンに目を覆いたくなる。特に元同僚殺傷シーン。裏切り行為が有ったとはいえ痛々しい。(横道:初見では気持ちがへこむ程痛々しく感じたのに、二度目は、「あぁ、撃たれ描写なんて、芸術的だよなぁ〜、すてき」なんて観ている自分に少し怖くなったのだが・・)

しかし、このバイオレンスシーンが、ラヴストーリーの効果的なアンチになっている。

非道行為ゆえに、主人公の少女への気持ちに揺れる心の葛藤が鮮明に、痛みとともに伝わってくる。特に、最後のシーン。それまでの殺傷シーンは、(少女の自決を除く)あれ程までにリアルに過激に描いていたにも関わらず(鮮血ドパー、体ブットビ)、靜かに血染みが広がっていくシーンのみに抑えている。饒舌な主人公でないだけに、そういう演出ひとつひとつが効いている。

沖浦監督は、最初に押井氏から脚本と構想を見せられて(まったく色気のない内容に対して)「ラヴストーリーにさせてくれないなら、やりません!!」とおっしゃったそうな。そうか、これは沖浦氏の渾身のラヴストーリーだったのか・・・って、それ、どうなの・・。

うーむ。

・・私も、嫌いじゃないんですけどね。

こういう作品をラヴストーリーとして絶賛してしまう男の人は、ちょっとヤだなぁ・・(横道:あ、沖浦氏、最近ご結婚されたようでなによりです)。べたなラヴストーリーも、押井テイストにかかるとこうもねじくれてしまうのか、はたまた、押井作品をべたなラヴストーリーに持っていくのは、これが限界だったのか。

いやはや。

(評価:★4)

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