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[コメント] 君も出世ができる(1964/日)

インテリ臭が抜けない黛敏郎谷川俊太郎の歌曲はポピュラリティ不足でノリが悪く野暮ったい群舞にも苦笑い。東京オリンピックの海外ブームを当て込んだ洋vs和の対比もいまひとつ。1960年代らしいモダニズムを取り入れた木村忍のセット美術が面白った。
ぽんしゅう

旅行会社のオフィスは体育館のようにだだっ広く整然とデスクが並ぶ。奥には階上(社長室)へ至るらしい不定形の曲線階段があり、壁には亀倉雄策(シネスケの登録名の「勇作」は誤記)の有名な東京オリンピック(1964)のシリーズポスターが貼ってある。中尾ミエが働く和風装飾の酒場は厨房と客席が混然一体化して店の体裁が良く分からないのが面白い。浜美枝が囲われている当時の画一的な間取りの洋風マンションとの対比にも見える。長い長い一本のテーブルにそって電車の吊革が一列に並び、壁にはトリスの短冊ポスターが連張りしてある酒場は通勤電車の比喩なのだろう。

で、黛敏郎谷川俊太郎(脚本)、亀倉雄策(美術)は後年の同じ東宝作品『東京オリンピック』(市川崑)にもスタッフとして名を連ねるのですが何か“流れ”があったのでしょうか。あと、役者さんではフランキー堺高島忠夫はいつものキャラクターを無難にこなしている感じ。お色気担当の浜美枝と素朴担当の中尾ミエが好いですね。雪村いずみのバタ臭さは(個人的に苦手なこともあり)ちょっと鼻につきました。

須川栄三監督のミュージカルなら『日本人のへそ』(音楽は服部公一)の方がまだ楽しかったような記憶あり。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)寒山拾得[*]

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