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[コメント] ガメラ対大悪獣ギロン(1969/日)

ガメラ』を特徴づける怪獣と聞かれたら、多分多くの人が「ギャオス」と答えるだろうけど、私は敢えて「ギロン」と答えたい。デザインに秘密も隠されてます。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ゴジラの後発だけに、ガメラは様々な形でゴジラとの差別化が図られているのが特徴。ガメラを完全に子供の味方にしてみたり、その割に怪獣同士の戦いが異様にハードだったり。中でも特筆すべきは怪獣のデザイン。まるでカメレオンのような人間離れしたデザインのバルゴンや、鳥とも獣ともつかない不思議な、それでいて格好良いデザインのギャオスとか。でも、その中でも最も異様で、特徴的なデザインと言えば、このギロンが最高だろう。見ただけで分かる武器のデザイン。それだけでなく、眠たげなサメの如き凶悪な目つき、極めつけに手裏剣!

 特にギロンはガメラをあれだけ苦しめたギャオスをあっという間にまっぷたつにしてしまう程の攻撃力を持つ。これでギロンの強さをアピールすると共に、彼の武器は頭部の包丁(!)だと印象づけるわけだ。ところが一度目の戦いでガメラと対峙するギロンは意外にも頭部の包丁をメインの武装として用いてない!

 ところでガメラの強さを象徴するのは何だろうか?断じてパワーや炎ではない。では飛べることか?それは確かに強さの一部には違いない。しかし、本当の強さは脅威の打たれ強さにこそある。これこそカメの特性を最大限に活かした部分だ。そしてその打たれ強さは勿論頭と手足を身体に収納できる所から来てるのだが、ギロンは一見地味に見える手裏剣を用い、それを防いでしまった。結果ガメラはこれで最大の強さを失うことになり、劇中で一度「死んだ」とまで言われる程のダメージを受ける。この辺りの戦闘の駆け引きの巧みさはゴジラを完全に超えてるよ。

 それで復活したガメラ。ギャオス、ガメラとの二度に渡る戦闘で充分に強さを見せ付けたギロンにぶつかるシーンは実に感動的だった。

 一方、この映画での人間部分のドラマはあまりにもしょぼい。子供を主人公にしたのは良いとしても、あの極彩色&銀ラメの第10惑星はデザイナーの正気を疑う程で、機械部分の特撮は今までにない程の情けなさ。更にギャグが寒い。「嬉しいと眼鏡が落ちるんですよ」は怪獣映画に使うべきじゃないんじゃない?ちょっと丸坊主にされるのは可哀想だったのが印象的だったかな?

 戦闘シーンだけで充分!

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)荒馬大介[*] ゼロゼロUFO[*] ina ペンクロフ

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