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[コメント] 鬼火(1963/仏)

あまりにもそっけなく、あまりにも深い余韻・・・。
SY

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







自殺を決意した鬱病の男アランの死までの二日間。あまりにもそっけなく、あまりにも深い余韻・・・。仏印象派、エリック・サティのジムノペディが、ゆるやかで持続的な不安感を美的なまでに表出する。

輪郭がぼやけたコントラストの強いモノクロ映像。ひとりの男とひとりの女が白いシーツの中で抱き合う。光のない部屋。動きのない愛。女の横顔。男の静かな独白。魂の暗闇。導入部のこのシーンを、私は最も愛します。余計なものを一切排した静かで詩的なラブシーン。

音もなく、字幕で流れる遺書の文字で、物語は終わります。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ギスジ

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