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[コメント] サウスパーク 無修正映画版(1999/米)

「アンクルファッカー」とフセインと表現の自由。
グラント・リー・バッファロー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







スラングの語源はよく知らないが、"unclefucker"ってもともとは"uncle sam"のことをもじってできた言葉なのだろうか。「おじ」を尊ぶアメリカ人にとって、他国人がその言葉を使ってくるのは最大級の侮辱、というニュアンスもあるのかなと思った。

大人たちの強引な仕打ちに、子どもたちが立ち上がるという設定は、『クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』と似ている。違うのは、大人たちが奪っていったものが、未来か表現の自由かというところだろうか。どちらもそれなりに骨太な主張が込められているのだろうが、仮想の「子ども」の姿にそういったものを託そうとする大人の姿は個人的にはあまり好かない。下品で教育的な作品ってどこか居心地が悪くはないか。タランティーノが懐かしい。

アメリカ人にとって、フセインはもうほとんどアメリカ人の一部なんだなという至極当たり前のことを強く実感させた。そういったアメリカ内の「ゲーム」にまで付き合おうとはあまり思わない。日本で考えるなら、北朝鮮の「喜び組」あたりをパロディーで出せば、今の歪んだイメージを押しつける北朝鮮報道への批判(もしくは相対化)という意味合いも帯びるのだろうが、それはあまり笑えないし何よりも悪趣味に感じる。表現の自由は大事な概念だが、「表現の自由」を擁護する側が、その「自由」を使って何を表現しようとしているのかは注視しなければならないところだろう。私も規制(という以上に規制を強いる側が押し付けてくる「良識」)は好かないが、子ども向けに作られている本作にR-15指定を施すのは、他方で仕方のない処置かと思う。(「イラク戦争」関連ニュースの大部分はR-18指定でもよいと思うが…)

大切なことを言おうとするときに嘔吐してしまう主人公のキャラはよかった。(★2.5)

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)秦野さくら[*]

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