微妙な映画。

まずは「舞台女優」と「素人を演出する監督」のせめぎあい。 不思議に、寄った絵では抑えた表情も、引きの絵で肉体が雄弁に語りまくってる。舞台女優の性なんでしょうか？ぼそぼそ喋っていてもセリフは判りやすい。トヨエツの方が数段聞き取りにくい。何喋ってんのかわかんないのも困るが、さらけ出した肉体から「舞台女優」が否応無しに立ち上ってくる様もミスマッチなかんじ。

ロケと省略法。たけし映画と似てるね。いいかんじです。

後半になって増えてくるヒューマンチックな音楽。ちょっと困る。だんだん人生賛歌的な展開になってくるのも微妙。コーエン兄弟にも匹敵するような観察眼の鋭さでそれぞれの人間を抉っていたのに、それが終わりに近づくに連れて「まァ、エエやんか」的な大味に変化してくるのが残念。

役者陣の演技合戦は見物ですね。牧瀬里穂だけ浮いてるが。あと、トヨエツは駅で歩いてくる登場シーンからして「トヨエツ」そのもの。何やらしても「トヨエツ」です。好きですけど。