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[コメント] 叫びとささやき(1972/スウェーデン)

とんでもなく情緒不安定で、悲惨な姉妹の家に雇われる事になった、召使の長〜くて、苦痛な時間。 アンナの日記。 
よちゃく

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 何故に 「アンナの日記か」 ?? って言うと、この映画の全シーン(回想シーンを含めて)で、屋敷に在宅中だったのは、召使アンナだけですね。 よって召使アンナの視点で、描かれたトコが 「アンナの日記」 なんです。

長女カーリン : 教養あり、プライドが高い、しっかりもの、強面、対人関係下手、不器用、手が大きい、茶髪、旦那が亭主関白、セックスレス、不安や性的欲求を自虐的行為で解消

次女アングネス: 幼少期(美少女、母親に愛されない、母親に愛されてる妹に嫉妬、内向的) 召使に母性を抱く、黒髪、男顔、不治の病?

三女マリーア : 精神年齢低い、八方美人、世渡り上手、したたか(好奇心旺盛ぶって無関心)、男好き、母似、旦那軟弱、メルヘン、金髪、タラコ唇

召使アンナ  : 普通に常識人、幼い娘亡くす、肥満体

 とにかく、語り尽くせない程、言いたい事があるんですが、この姉妹は女3人(男兄弟なし)ってコトで、これだけの、確執、嫉妬、憎悪なんて、普通で、ブルジョア階級だから尚更あるでしょう、と言いたいのです。 3人姉妹なんて、こんなもんでしょうよ。

 姉妹の中で、唯一、姉妹関係の見えにくいのが、至って理性的な、長女カーリンなんですが(回想でも、旦那との関係と、召使に八つ当たりだけ)、マリーアに対して、夜に罵る、別れ際に、和解を申し込もうとするなど、実は、カッとなりやすく、最も感情を制御するのが、下手であるコトが分かります。 一方的に、マリーアを罵倒するシーンの後、またやってしまったと後悔し、シャウトした後に、マリーアと顔を触れあいながら、本音で語る? シーン(口パク)でも、所詮、容姿や性格の褒め合い(うわべだけ)だったんでしょうね。 

 カーリンとマリーアが、回想シーンなのに対し、アンナだけは、夢か妄想のシーン(アングネスが生き返るトコ)っていうのが興味深いのですが、あのシーンは、娘を亡くしたアンナの拠り所が、アングネス(亡き娘の幻影)だった事を意味してると思います(アングネスが教祖のように、姉妹に対し、命令調で話しかけ、死体を抱いて座ってるトコは、聖母マリアの絵画に見えます)。

 アングネスが苦しむシーンでは、アンナの名前ばかり叫んでて、落ち着いた後は、姉妹達と普通に接してます。 このシーンがアングネスの本音だと思います。

 ラストシーンは非常に美しい(アングネスが唯一、健康に写る)んですが、「救い」や「希望」じゃなく、こういう時間が欲しかったという 「願望」 に過ぎません。 

 アングネスの顔しか、写してないのが、それを決定付けています。 

(評価:★5)

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