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[コメント] ジャッカルの日(1973/米)

非常に緊張感のある知的口論に似ている。ただお互い全然しゃべらないだけで。
torinoshield

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







最近は自爆が流行ってるもんで緻密な犯罪計画とそれに対する緻密な犯罪阻止、みたいなチェスや将棋の様な駆け引きの優雅さがないわな。

昔懐かしい文庫本でも知的犯罪者対探偵なんてのもよくあったわけだが基本「両者のせめぎ合い(知識対知識)はほぼ互角」ってのが前提だった。互角だからちょっとしたミス、裏をかいた行動が勝負の分かれ目となる。それもどちらも同業者がまったく到達できない高いレベルでの勝負っていうんでしょうか。これは本を執筆する人達がもっぱら虚弱な体質の人が多い為でスマートな戦いを好んだ(望んだ)とも言えるわけだ。

最近の映画は衛星使って核ミサイルなんていう一応ハイテク知能犯なんだけどそもそもが大味っていうか。それって脚本家が虚弱体質な中学時代に夢見た世界征服なんじゃ。じゃあこの映画の犯人は大味じゃないのかと言われればぎりぎり現実味のある人物だ。なんと言ってもこれをまねた犯罪未遂まであるわけで。やっぱ犯罪は緻密な計画だよ(と言いつつオレがやるとしたら「その場の流れで決める」だが)。

犯人の目的が式典での暗殺とこちらにはわかっているので夜中の12時に伺いますってやつだね(って何でいつも12時なんだ?見てくれがいいのか?1時6分とか紛らわしくて面白いと思うのだが)。ピークは式典最後に来る。それがこちらにも伝わってくるからそこまでの過程を十分に堪能できる。運動会の100m走の順番待ち状態の様な胸騒ぎが常にエンディングに向かって収束していくのだ。これでドキドキしない奴は間違いなく1位かビリが決まっている、ある種達観している人間だけだ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)[*] ぽんしゅう[*]

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