[コメント] ポセイドン・アドベンチャー(1972/米)
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海底地震により転覆した客船から脱出を図る人々のパニック・アクション映画。
単純にアクションだけでなく、脱出を図る人々の確執などドラマ部分でも存分に楽しめる。
演出面では、水がどんどん押し寄せてくる中、主人公スコットたちが危機を脱して船底の甲板を目指す展開での緊張感を煽る演出が秀逸。また船員の言うことを信じた人たちが船の中に入ってきた水の中に次々とのみこまれ死んでしまうところがインパクトがあったし、終盤でこれまで中心人物として生存者たちの指揮をとってきたスコットが脱出口を開き、指揮を刑事ロゴに託して自ら命を落とすという意外性のある展開も印象的。
登場キャラも個性が確立されており、スコットは神父なのだが神に対して信心的な感じはなく、主観的な理論で前半に演説しているところが面白い。また、困難に遭遇する度に挫折しようとする歌手サニーやサニーを懸命に励まし続けるマーティ、スコットに文句ばかり言う刑事ロゴに傲慢な性格のロゴの妻リンダなど、どの人物も個性的で魅力が感じられ好感が持てる。役者の演技も申し分なく、どの役者にも均等に出番が与えられているのも魅力。特にシェリー・ウィンタース演じるベル・ローゼンが中盤で昔水泳選手だった杵柄でスコットを助けに水中に潜るシーンでシェリー・ウィンタースが実際に水中に潜ってしまうところは当時の年齢を考えると感心してしまう。
気になった点としては、残りの生存者たちの指揮をロゴに託すためとはいえ、ロゴの妻リンダを終盤に殺してしまう展開は少々強引すぎる気がする。どうせ死ぬのならもうちょっと伏線を作ってからでもよかったと思う。とはいえ生存者の一部が自己犠牲ような形で死んでいっても、うまく伏線を作って安っぽくなく感動的に仕上げている点は評価に値する。
映画としてはパニックアクション映画の王道というだけあって、脱出劇の緊迫感、緊張感を煽る演出は非常に素晴らしく、パニック映画としてもドラマ・アクション両方とも文句ない作りとなっていて、誰にでも進められる。
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