[コメント] 素肌の涙(1999/英)
どんより垂れ下がった曇り空の下の家族の肖像。ときどきタルコフスキーを思わせる映像美がある。
オープニングから続いていく、「だから何が言いたいのかハッキリ言いなさいよ」て言ってやりたくなるウジウジ十代の弟くんには閉口した。けど、弟くんの疑惑はひとりで抱え込むには大きすぎる。簡単に口に出せるわけがない。
どよんと暗いトーンは全般に続く。でも、ちっとも飽きない。ふと漂わせる腐臭、きゅっと締まる緊張感に満ちた空気。怠惰で緩慢な夜の部屋の雰囲気。全員が無言で座るクルマの中……。
深みにはまれば、ここから一生抜け出せないのではと恐怖させる孤立した一軒家は何度かカメラに映し出されるが、「戦場になってしまった家庭」として、シンボリックで有効なショットだと思った。
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