[コメント] 長崎ぶらぶら節(2000/日)
生涯処女たることを義務づけられた女優。その存在に嫌悪感をおぼえる人もいるだろう。だが、そのために老いを隠すことをしなかったこの作品の吉永には嬉しさを隠し得ない。
誰しも贔屓の俳優には変わってほしくないと思うものかもしれない。だが、当り前のことながら、老いから逃れられる人間はいない。それゆえに、変わることを怖れていた吉永には、若さを失っても演技者として生きることを辞さなかった誇りは評価するものの、「老いを見せる勇気」こそを持ってほしいと願っていたものだ。
確かに自分も、吉永のセックスシーンなど見せてほしくはない(『天国の大罪』など直視できないと思う)。つねに夢を与えつづけるスターが日本にもいてくれていいと考えている。だが吉永を、老いて美しくなくなったからと俳優業から退いたりする女優であれと望む者ではない。老いは穢れではない。彼女なら老いても毅然とした女優でいてくれると思う(もっとも、作品についてはもっと選んでほしいものではあるが)。
彼女には、むしろ純愛を貫く老婆をさえ演じてほしいものだ。彼女はなんでもこなせる女優でないことは自覚していることと思うが、それならば一生涯この国に稀なるスターとして生きてくれることを、自分は期待してやまないのだ。
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