[コメント] 漂流教室(1987/日)
無論、原作の衝撃を期待していた訳ではない。だが、「漂流」の本当の意味だけはきっちりと描いて欲しかった。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
荒廃した未来世界へと飛ばされた子供達。様々な困難を乗り越え、それでも彼らはその世界で生きていこうとする。だが、目の前に広がるのは荒れ果てた大地だけだ。
鑑賞後に残るのは漠然とした絶望感のみ。「あのタイム・トラベルにさえ巻き込まれなければ幸せに暮らせたのに」「運が悪かった」「かわいそう」etc。何故か?それは、未来への「漂流」を単なる偶発的な悲劇としてしか捉えていないからだ。
では、原作ではどうなっていたのだろうか?
未来世界での様々な困難を乗り越えていくなかで、子供達は気づく。未来への「漂流」が必然であったことに。自分達が選ばれた存在であることに。自分達が未来世界に播かれた最後の希望の種であることに。それ故、彼らは自発的に未来世界で地球を再生させていく道を選ぶ。一方で、ただ一人現代へと帰還を果たした子も自覚する。自分があの絶望的な未来世界を知る唯一の生き証人であることに。人類をあの最悪の世界にたどり着かせないための責任が自分一人にかかっていることに。
かくして、子供達はそれぞれの道を歩いていく。人類全てが犯した罪を一身に背負いながら。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (6 人) | [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。