[コメント] キートンのマイホーム(1920/米)
続くショットは、キートンとシビル・シーリーが教会の階段を下りて来るロングショット。ライスシャワーを浴びる。つまり結婚式から始まる映画。以降、2人がイチャイチャする(軽いキスをするなどの)場面が何度も現れてとても可愛い。エンディングまで、色々なものが破壊されるのだが、はたして、2人の仲も破壊されるのか。
原題は「一週間」というもので、日めくりカレンダーを映して9日(月)から15日(日)までの一週間が、一日ずつ描かれる。9日が結婚式。10日から3日間はキートンとシーリーの2人が自力で組み立て式のマイホームを建てる場面。この前半も、高低を活かしたロングショットやキートンの落下のアクションで、面白い演出がいっぱいあるが、この中で、シーリーの入浴シーンがクロスカッティングで挿入される部分、こゝだけはもう少し書いておきたい。バスタブに座った彼女の横のショット。乳房が見えかけていてドキドキさせる。さらに、シーリーは、石鹸を画面手前の床に落とし拾おうとするのだが、すぐに画面に手が出てきて、カメラレンズを覆い、シーリーを隠すのだ(撮影者の手ということだろう)。これって『デブ君の浜遊び』(『キートンのコニー・アイランド』)のアーバックルが着替えるシーンのアレンジじゃないか。
そして、何と云っても本作の傑出したパートは、13日(金)のお披露目会の一日だろう。人々が2階に上がると酷い雨漏りをしている。こゝでキートンのウェストショットが挿入されるのは、全編で一番キートンに寄ったショットだ。家の中で傘をさし、表に出ると、結構な暴風雨。嵐。最初は家が横にスライドし、ドア位置が変わって家に入れないというギャグだが、だんだんと家が回転し始める。このパートでは、屋外で回転する家の外観を撮ったショットもいいけれど、屋内の人たちの様子が挿入される画面はケッサクだ。キートンも家に入って、よろけ回る。これを360度パンで見せる。ピアノ椅子で回転するシーリー。皆外に出て、ずぶ濡れになりながら、吹っ飛ばされるシーンも凄い。いや、このスペクタクルの造型には喫驚する。14日(土)の家の移動、15日(日)の家の破 壊も負けず劣らず面白いし、スペクタクルだが、回転する家の造型が突出している。
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