[コメント] 大人は判ってくれない(1959/仏)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
私はやたら家庭科の盛んな高校に通っていました。普通科だったのに、3年生になっても「食物」という科目が週3単位もあり、2週に一遍は調理実習をしていたものです。食べ物関係は所詮は「消えモノ」だし、栄養学的なことには興味があったので、よい成績をとって受験に有利に運ぼう!と努力するにやぶさかではありませんでした。(とか言いつつ、推薦入試は受けませんでしたが)
けれども、2年次で「家庭一般」の被服分野をやっていた日々は、拷問以外の何者でもなかったのです。理由はただ1つ、「ミシンがうまくかけられない」からでした。
糸もかけられなきゃ、足踏みも電動も性に合わず、真っ直ぐ縫うのは至難の業だと思っていました。提出物をさっさと出さないと単位はやらん!と脅され、泣き泣き放課後の家庭科室で担当のN教諭の嫌みを聞きつつ、課題を仕上げたこともあります。本気で中退まで考えたほどでした。
ところで、漏れ聞くところによりますと、女子少年院などの更生施設では、手に職をつけさせるための一環として、洋裁(当然ミシン)なんかの科目?もあったりするそうではないですか。それを知り、「何があっても、警察の御厄介になるような行為だけはすまい」と思ったものです。金食い虫のバカ兄貴にかかりっきりで、娘の方はないがしろの親たちではありましたが、とりあえず、食べて寝て学校にも通わせてもらっている、これだけで十分だと思い、「ミシンがけの恐怖から逃れるためには、何でもする!」の一心で、まじめな生活を心がけました。
はっきり言って、アントワーヌのことも、彼を「判ってくれない」大人たちも、私には理解できませんでした。まさに、映画の登場人物そのものだったのです。共感できてしまったら、さぞや辛い映画だったろうと思うと、無責任に、セリフの選び方や独特の画ヅラに酔ったりできたことに感謝したい気持ちです。
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