[コメント] ワイルドバンチ(1969/米)
例えばクライマックスの銃撃戦に確固たる悲哀が伴わないところなどを見ていると、まだまだ発展途上の作家だった当時のペキンパーの力量が感じ取れる。
とはいえ、冒頭とクライマックスの市井の者をも巻き込んでの銃撃戦そのものの時を超えた鮮烈さ、また道中の小村での心なごむひととき、あるいは三脚を立てずに機関銃を試し撃つ際や豪傑達が見せるユーモアの数々(あの回し飲みの愉快さ!)などには、やはり心動かされる何かを感じずにはいられない。
さらに言うと、高速度撮影はもちろんのこと、例えば本作で中途半端な扱いのまま放り出された自動車のエピソードなどがこれに続く『砂漠の流れ者』でも再度取り上げられ、それそのものが重要な役割を示していたところや、『コンボイ』における橋の大爆破などを見ても、本作がのちのペキンパー監督諸作の支柱としての働きを示し続けたことも明らかである。
ただ、公開当時の映画的背景を追うと、特に高速度撮影による殺戮シーンは、先立って公開された『俺たちに明日はない』の後追いと取られても仕方なかったのも事実であろう。その悔しさがのちの諸作においても高速度撮影を連発させ、やがてはそれ自体が彼の代名詞と言われるようになった所以だなどと考えるのは考え過ぎというものだろうか。
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