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[コメント] 炎628(1985/露)

埋められた銃を掘る少年二人のシーンから始まる。この冒頭から、寄り気味の正面カメラ目線、バストショットが多用される。主人公の少年はパルチザンに連れて行かれる。
ゑぎ

 中盤の、牛を曳いている際に敵から銃撃されるシーンが興味深い。弾道(銃弾の軌跡)は、発光した線として可視化され、銃撃の激しさがよく表現されている。曳光弾というのだろうが、実際にもこんなに多いものなのか?

 どこからか来る銃弾。爆撃。主人公が上空を見上げるカットと、飛行するグライダーのような敵機のカットが、何度か挿入される。しかし、後半まで、基本、ドイツ兵は現れない。後半になってドイツ兵が現れると、もう他で見たことの無いような、怒涛の展開が待っている。ドイツ軍による一つの村の陽気な大虐殺。一転してドイツ軍の隊長ら幹部が、パルチザンに捕らえられ、尋問を受ける(このシーンの通訳者が面白い)。そして主人公が、ヒトラーの肖像写真を撃つシーン。すると唐突に、ナチス、ヒトラーの記録フィルムが、逆回転・巻き戻しで見せられる。このパートの最後は母親と一緒に写った幼少期の可愛らしいヒトラー。これは多義的で曖昧な感懐を残す効果を狙ったのだろう。ちょっと嫌らしくないか。

 ドイツ兵の「行為」をそれほど惨い画面として提示せず、主人公の少年の顔面演技、それも正面カメラ目線カットで印象付ける演出は、くど過ぎて、私の好みではありません。炎と顔、と云えば、かのマリア・ファルコネッティの顔の映画でさえ、私はあまり好きではないのだ。少年の顔が中年の頃のマックス・フォン・シドーの顔みたいに変化していくのは面白かったですが。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)Myrath

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