[コメント] フランダースの犬(1997/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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「最後に、教会で死なせりゃ、観客は泣くし、俺も泣く」って作り手の安易な思考があのシーンには噴出してて、見てて、思わず苦笑してしまった。
TVシリーズは、数年前の再放送時に数度見たことがあるだけで作品に特に愛着があるわけではない。有名な作品だから、見てみようと思ってビデオを借りたのだが、作中の各エピソードがまったく繋がっていない。これって「原作」の映画化じゃなくて、TVシリーズのダイジェストを映画化したものだったのか、迂闊でした。
だからこそ、原作が持つ、アントワープへのドス黒い悪意なんてものが綺麗さっぱり消え去ってるわけね。この作品(原作)は都市や文明に押しつぶされていく、一人の無力な人間の悲劇をキリスト教的殉教を絡めて描くって構図を取る以上、『ダンサー・インザ・ザ・ダーク』と同じ作りなわけで、『ダンサー〜』のほうは、「悲劇の必然」を恐ろしいまでに描いていて、テーマに共感するしないは別にして、すごい作品だとは思えたんだけど・・・。「外環境が要因となるネロの死の必然」を描かない以上、ラストは単なる、パロディとしてしか取れなかった。
思うに、作り手は、原作を読んだかどうかすら疑問だし、原作がどのような歴史下や過程で成立したかなんてことは調べることなんてしなかったんだろう。 TVシリーズを見た人と共通幻想を分け合って終わり。
映画未満、のみならず、表現未満な出来。美しい背景美術を見て、一部スタッフをがんばりが感じられただけに、見終わった後に怒りだけが残りました。
そいや、「ラストに教会で死ぬ」はネタバレなのかな?、なんだか微妙な感じ。一応ありにしときます。
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