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[コメント] 三文役者(2000/日)

映画版「知ってるつもり」
FRAGILE

 戦後日本映画の名脇役として知られた殿山泰司の半生を描いた作品。

 自らを三文役者と称した脇役としてのプライド、映画を愛し、酒と女に弱い、そんな殿山泰司の姿を当時の映像を交えながら愛情豊かに描いている。

 それに成功しているのは一にも二にもモノマネをベースにした竹中直人の演技。また、荻野目慶子の貧相な体の線も50年代からの舞台設定によく合っている。

 ただ、この映画を作品としてみた場合、特にストーリーを云々する部分はない。殿山泰司という人が実在したということを伝えているに過ぎない。

 近代映画協会という独立プロでの仕事に感動を与え、酒と女での失敗に笑いを誘い、最後は涙を誘う。そう、つまりは「知ってるつもり」なのだ。

 そう考えれば、ただでさえ若く見える竹中直人が70過ぎまで演じていることや、荻野目慶子が同様に17から50過ぎまで演じていること、赤坂の風景が現在でしかないこと等々が、再現フィルムとして捉えることができる。

 そうした形式を良しとするならば、端役に至るまで名のある役者が演じているとても良質のフィルムとして評価できるだろう。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)tkcrows[*] けにろん[*]

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