[コメント] 恋のエチュード(1971/仏)
英国的献身と貞操観念、フランス式自由恋愛の断絶を描かんとしたこの劇に、俺はイマイチ乗り切ることが出来なかった。それは、俺が日本人だから、というわけでは断じてない。そんな言訳するくらいなら洋画などハナから見ない。ただ俺は、女に魅力を感じないメロドラマからロマンを感じることが出来ないのだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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キム・マーカム演じる姉の、レオー、及び妹ステイシー・テンデターへのスタンスが曖昧な為イマイチ話に入り込めない。
妹の恋の為に身を引き、結核を知って結婚を遠慮する、とピューリタン的献身を体現するかのような姉の心の葛藤が全く描かれていないため、言い方を変えれば、彼女のそういう特性にトリュフォーが一向に関心を示さないがために、妹の特性たる貞操観念・卑屈さは拮抗すべき対象を喪い無闇に浮き上がり、結果、姉はなんとなく存在感の薄い、妹やたらと神経質なだけの、どちらも魅力に乏しい女と映ってしまった。
つまりトリュフォーにはフランス娘しか描けない、ということなのだろう。彼には英国人姉妹も、大和撫子も描けないのだ。
アルメンドロスのカメラの、ゴツゴツして肌寒いような質感は、室内に於いても屋外に於いても完璧に英国的(スコットランド的?)で、物語の性質にも寄り添っており、それには唸らされた。しかし、それも中盤まで。
妹が自慰を告白するシーンの演出など、余りに仰々しくて、どっと白けさせられた。
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