[コメント] ハードエイト(1996/米)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
後発のポール・トーマス・アンダーソン作品である『ブギーナイツ』や『マグノリア』に比べると短い上映時間に収まっているものの、フィリップ・ベイカー・ホール・ジョン・C・ライリー・フィリップ・セイモア・ホフマンなどの常連俳優が既に登場しているだけではなく、彼の作品の主要なテーマが既に打ち出されている。不安定な境遇にあって悩みの底に沈む若者と、そんな若者を包み込む擬似の親にあたる存在。世渡りの下手な下の世代がうまくやっていけるように心を砕く上の世代の思いやりに溢れた視線に心うたれる。(本作の場合、彼の父親を殺した罪滅ぼしという明確な動機がつけられていて、それに関しては少しだけ野暮ったく感じた。)
けっして美人ではない本作のグウィネス・バルトロウの雰囲気やしぐさに強い魅力を感じた。彼女の物憂げな表情と薄暗いカジノ街の雰囲気がとてもうまくマッチしていた。カジノのネオンに映える女優なんて、なかなか得がたい存在だろう。
『マグノリア』や『ブギーナイツ』のように、どこから何が飛び出してくるかわからない世界観の魅力という点では及ばないが、構成に関しては本作のほうがタイトで締まった感じがする。個人的にはアンダーソン作品のなかで本作が一番好き。(★4.5)
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。