[コメント] キャスト・アウェイ(2000/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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特に好きな場面は島に漂着したチャックが初めて懐中時計を見る場面。
ここでゼメキスはチャックを撮るだけで切り返しで懐中時計を撮らない。チャックが耳元で懐中時計を振る動作で懐中時計が壊れたことを表現している。あえて写真とチャックを切り返しで撮らない事で会話の不在を表現しているのだ。この後のあるシーンではウィルソンとの会話(独り言だが)でふんだんに切り返している。しかし写真とは会話せずに、写真は何かの信仰の拠り所であるかのように(つまりは愛なのだが)真正面から神々しく撮られる。
こういう細部のこだわりが非常に良い。
飛行機墜落の一連の過剰なアクションも面白い。洗面所にいたら突然に真横に放り出されそうになる、墜落しかかっているのに懐中時計を拾いに行くスリル、海面に出たら後ろでバカでかい飛行機の羽根が炎上しているなど、本当に面白い。面白すぎる。この映画のアクションは過剰すぎて深刻なのに笑ってしまう。
説明不足だと取られるシーン(例えば鯨)も多々あるのだが、ゼメキスはあえて説明していないのだと思う。ゼメキスは饒舌になったりしない。むしろ多種多様な突発的な出来事の連続を楽しめば良いのだ。
そもそも人生とはそういうものなのだ。すべてのことが分かることなど無い。しかし翼のイメージの符号のように何かつながっている事もあるかもしれない。そういう予感と余韻を秘めた簡潔なラスト。チャックはあの翼が描かれた郵便物を届けることで郵便業者としての最後の仕事を終えた。これからどうするのだろう?分からない。だがまたどこかに向かうのだろう。それで十分だ。
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