[コメント] 去年マリエンバートで(1961/仏=伊)
いや〜、この映画は俺の中では伝説になっていますね。初めて観たときはオープニングの超絶に難解な(あまりに晦渋すぎて笑ってしまったほどだ)、それでいて最高に魅力的なナレーションに心をぐわっと鷲掴みにされました。映画開始その瞬間にもう虜にさせられました。俺がシネスケに5点をつけた映画の中では間違いなく最速記録だろう。そのためか繰り返し繰り返しビデオをレンタルし、更にはフィルムセンターでやってた特集上映にまで足を運びましたよ。後にも先にも、既に観た映画を映画館で再鑑賞したのは「去年マリエンバートで」以外にありません。
この映画は中途半端さとは無縁だ。極めた映画である。そこが面白い。ナレーションや僅かに存在する(ように見える)物語性の残滓。他には殆ど類を見ないほどの難解さだ。ほんっとにわけがわからん。解る気配なし、理解の糸口すらない。だけど何度観ても最高の心地よさを味わえるのだ。カメラワークや編集技法も実験的で心臓からよだれが出るほど気に入っている。そして、映像の美しさ。庭園や噴水、階段や彫像。全てが完璧な映像だ。美しさなんて主観的なものだけど、これは誰がなんといっても美しいのだ!不純物ゼロ、100%西洋的な美、美、美。フランスは、欧米はこの1本の映画だけでも自信を持って誇れるだろう。世界遺産に映画というジャンルがあるのなら真っ先に登録されるべき作品である!マジで!
*俺と同じように映像に魅せられてしまった方、『唇からよだれ』やベルトルッチの『革命前夜』などが本作に近い映像のタイプだと思いますので挙げておきます。
どっかのハリウッドの監督が平易な形でリメイクしたら面白いかもしれん。まず観ないだろうけど。
この映画を観直す機会がある方、注意してください。映画に嵌まって迷宮から脱け出せなくなることにではありません。デルフィーヌ・セイリグのヘアスタイルはちょっと美川憲一に似ていることにです!
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