[コメント] ウイズネイルと僕(1987/英)
愛すべきふたり組といえば、まず「彼ら」を思い出す。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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この映画は結局、ロンドンに帰ったふたりが同居を解消し別々の道を歩みだすところで映画は終わるのだが、こんな素敵なバディムービーはめったにないのではないかと思う。友情を高らかにうたいあげる場面などは一切ないし、はっきり言ってウィズネイルの身勝手さと言ったらとんでもないものなのだが、それでも、このふたりが(特に "僕" がウィズネイルと)出会ったことの重大さ、共に暮らした日々が実はどれだけ貴重なものであったのかということがひしひしと伝わってくる。
時代の空気だなんて実は共同幻想のようなもので、それでも、それを知りつつも人々はその熱に巻き込まれ踊らされてしまう。 夢を見てしまう。そして、だからこそ、その時代に取り残されつつあることを知っていながら、時代そのものが去りつつあることを確信しながら、それでもあがくこともなく、だからと言って夢を完全に捨てきれるわけでもないふたりの姿がとても切ない。スクリーンのこちら側に座っている私の胸にまでその焦燥感が強く響いてきて、うっかり泣いてしまいそうにさえなる。
けれども、それでも笑いながらこの映画を見られるのは、ふたり、だから。もしもこれがたった一人のモラトリアム青年の話だったならば、こんなに印象深く思い返せもしなかっただろう。
ウィズネイルと僕、なんて秀逸なタイトル。なんてだめなふたり。なんて魅力的なふたり。
ふたりだからこその、ふたり。
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