[コメント] 現金に体を張れ(1956/米)
繊細かつ大胆。観る者を引き込む様々な手法に脱帽。邦題もお気に入りのひとつ。
映画を見ながらひとつの仮説を立ててみた。スタンリー・キューブリック作品には、中毒性があるのではないか。皆さんのコメントを読んでいてある程度感じていたことだけど、私にもあてはまるんじゃないか。彼の作品は私にとってこれが2作目にあたるのだけど、2作目にしてすでにその予感がする。
1作目は『フルメタル・ジャケット』だった。そこで描かれる恐怖の質に愕然とした。この映画はそういう恐怖ではないけれど、同じ種類の緊張感が全体をとおして貫かれていることを感じた。そしてその緊張感のとりこになりつつある、と感じる。
観念的な表現かもしれないが、世の中に「甘い」映画はたくさんあると思う(決して甘っちょろいという意味ではない)。やさしさや幸福、友情、希望、などを描いた映画である。それはそれで悪くないし好きな映画もたくさんある。しかし、はたと気づくとそうでない映画のほうに引力を感じる自分がいる。
甘いお酒は好きではない。どれも大差なく感じてしまう。辛口のお酒は、よくできたものは本当に味わいがある。この映画に感じるのは、そういうことである。そして、その他のスタンリー・キューブリック作品にもそういう期待を抱いている。
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