[コメント] ハムレット(2000/米)
これなら,あの時代そのままに再現したほうがまだ良い.予算ないか・・・.「現代」は,必ずしも共感に必要なフィルターではないということが,今またはっきりわかった.
時代に関係なく,普遍的な問題を含む戯曲であることはよくわかりますが,なぜかハムレットの存在が近くに感じられないのです.彼は猜疑心に満ちた目で周囲の人間を見つめ,最新の映像機器に囲まれ,流行りの毛糸の帽子をかぶって街を闊歩します.その姿はよく見かける当代の若者そのものです.まるで自分のようであり,親しい友人のようでもあります.しかし,しかし何かが決定的に欠けているために,まったく別の世界のことのように感じられてしまう.ハムレットの叫びも苦しみも,心に響いてこないのです.恋人であるはずのオフィーリアの存在も描き足りないために嘘っぽく,「ああ,これは本当に単なる映画で単なる演技なんだ」と,遠くから突き放して見てしまいます.
もっともっと可能性を秘めた題材とキャストだったと思うだけに,とても残念です.
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