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[コメント] ハネムーン・キラーズ(1969/米)

愛の病という主題、ミニマムな構成、フレーム外の処理連発と、とてもトリュフォーっぽいのだが、ディバイン似のシャーリー・ストウラー起用のリアリズムは本家がなし得なかった偉業だろう。
寒山拾得

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トリュフォーの絶賛で知られる作品。どう褒めたのか知らない(内輪褒めという気もするが)ので勝手な想像だが、本家は絶世の美女を主演女優に起用し続けた訳で、こんなディバインみたいな女(『バッファロー’66』のクリスティーナ・リッチなどもこの系列になるだろう)を主演に据えてリアリズムで撮っちゃって、採算が合うんだろうか、アメリカ独立プロはすげえなあ、という褒め方だったんじゃないだろうか。私ならそのように褒めたい。

ドキュメンタリー・タッチは同じ独立プロのカサヴェテスの初期作をいくらか想起させるものがあり、心理描写の積極的に排されたゴツゴツしたタッチが印象的。美男のトニー・ロー・ビアンコがなぜシャーリー・ストウラーに惚れるのか、は、もちろんセックスの相性が良かったからだろう。

ストウラーのビアンコへの「最初から嫌いだった」という終盤の科白がとても素晴らしく、個人的にはこれで1点加点。余りに遅すぎた覚醒。人は悪魔にでも恋してしまうのだ、そして自分も悪魔になってしまうのだ、そして経験してみないとその価値は判らないのだ、という切なさとやりきれなさを覚えた。

(評価:★4)

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