[コメント] キラー・エリート(1975/米)
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CIAがこの「コムテグ」みたいな民間組織使ったという実話があるのかも知れない。この組織のグダグダで話は纏められているのだが、よく判らないものだから煙にまかれたように映画は終わる。CIAの歴史を調べようと思うほど面白い作品でもないのが弱りものだが、別に悪い作品じゃない。
序盤の、当時のリハビリ治療風景がいい。木製の階段とか、ダンベル追加する足の上下動訓練装置とか。中盤の建物からのタクシーへの銃撃脱出劇は、町中でやられたら困るだろうというレベルに派手で、シスコの坂道のカーチェイスも派手。一段落した処で爆弾騒ぎ、ナイスなキャラの白バイ警官に爆弾処理させるドタバタが面白い。
そんなこんなで終盤、軍艦の墓場がロケ先として面白い。「税金の墓場だな」。紫頭巾がポップだが余りにも弱い忍者がわらわら出てきてやられまくり、チャンマコ岩松対トク(よく判らないが永遠のライバルの日本人の模様)の真剣の日中戦争は中国の勝利。Wikiにも本作は本邦で人気がないと書いてあるが、これが原因ならそれは狭量というものだろう。チャンは中国へ民主化運動に戻るのだ(なおニクソンの訪中は1972年)。双葉十三郎に至っては「ペキン監督パーとなる」と評したんですか。すごい表現で、米中共闘を大日本帝国が嫉妬している具合だ。
本邦の忍者映画は、全盛期はモノクロ期で、カラーになると詰まらなくなった。『魔界転生』とか。忍者の棲家はモノクロだったのだ。ヤクザ映画から脱線すると、らしくないと非難される深作は、らしさが強要される点でペキンパーと似ていたのかも知れない。ペキンパーは「コメディタッチでウケると思ったが洒落が通じなかった」と語っている。
相棒のバート・ヤングは本作でも味があっていい。サイコなガンマンのボー・ホプキンスも、無茶するかと思わせて案外まともな人物というのが愉しいが、最後は射殺されてホッタラカシにされるのはシニカルである。逆に云えば、この二人がいないとちょっと寂しい作品だっただろう。
髭生やしたロバード・デュバルは一時のポール・サイモンに見える。リハビリ復活までしたのに大した情念もなく、再会してやあやあと愉しそうなのが実に妙だ。ラストは不満。リハビリしてくれたヒッピー風の看護師の元に主人公が戻るショットを入れてあげてほしかった。
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