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[コメント] 最後の戦い(1983/仏)

黒澤明もそうだったように「トーキーをサイレントとしても成立する映像作りこそが映画人の重要な仕事」というのを多少理解した当時24歳のベッソン。映画の原点である映像を極めようとし、サイレント&モノクロ映画をこさえた当時24歳のベッソンの力試し。
ジャイアント白田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







高校を優秀な成績で中退した17歳から映画界に入ったベッソンの、早めの“映像”先祖帰りは勇気のいることだと思うし、見事映画として残すことになった仕事は大変素晴らしい事だと思う。

内容は、非常に難解のようで、様々な想像を引き出させてくれる割合優しい内容のような気がした。色々あるけど、例えばスペインのアルタミラやフランス南西部のラスコーの洞窟の絵を思い起こさせる壁画があったり、言語の消去による原始時代を再現しているかのようで、未来と過去の違いの差の無さを巧い具合に皮肉っているのがイイ。

そして忘れてはいけないのが、ラストのオチが女性というのもまたイイ。男女の仲や人間の主従の関係の終わりなき連鎖をユーモラスの描いたベッソンの成長が、現時点では退化しているのもまた計算し尽くされたユーモラスで面白い。これが本当のオチなのだろうか。いや、きっとこの作品のオチは、まだまだ小出しでベッソンが生きている間は出されるのであろう。期待しよう。退化のあとに進化がくるのだし。

2003/2/8

(評価:★3)

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