[コメント] みんなのいえ(2001/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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最初はぶつかり合う棟梁とデザイナー。徐々にお互いを認め合い、最終的には心通じる・・・。この展開はミエミエだった。が、それが逆に安心して観られる要素にもなる。壊れた家具を共に修繕してゆくシーンの、なんと美しく壮厳なことか。
全体的に安心して楽しめる作品に仕上がっているとは思うものの、どうしても納得のいかない点が。
それは、デザイナー柳沢の言動。もしかして三谷監督はワザと狙ってやったのかと思ったが、どうもそういう感じでもなさそうな。
言い出したらキリがないのだが、特に、インチ法での図面が却下され、手直しがなかなか提出されず、直介が催促するシーン。柳沢は「自分はアーティストだ、自分が納得するまで推敲する」みたいな事を言っているが、幾らなんでも社会人としてこんな事を言う者はいないだろう。何よりも優先させるべきは「納期」。かつてこの業界にいた私は、建築の社会においてそれがどんなに大事な、守られねばならないものであるかを痛いほど知っている。この業界でなくても「納期を守る」なんてことはアーティストであれ職人であれ、あらゆる職に就く者にとって常識中の常識、三谷さんだって原稿とかそうしてるでしょ。と、柳沢の台詞は、全くリアリティが無い。まあこの台詞に関しては私の代わりに直介が怒ってくれてスッキリしたが。
そして更に、壁の赤ペンキの落とし前は?「自分のこと」でクライアントの家の壁にペンキをぶちまけておいて、無罪放免とは思えないのだが・・・。
棟梁と対極の位置にいる人間、現代的な若者デザイナーを持って来たかったのは理解出来るが、その言動が不自然すぎの矛盾しすぎ。もう少し練る必要があったように思う。
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