駆け出しのコピーライターが不倫発覚で大阪に左遷され、そこで出会った青年に惹かれていく青春ストーリー。

　ストーリーとしてはきちんとした出来の青春もの。その基本をラストに至るまでまったく外してはいない。そのオーソドックスさは物足りないと感じさせる部分でもあるし、安心して観ることができるという安定感でもある。一応、大阪が舞台ならではの笑いが所々に入っていることが特色として挙げられる。

　目当てにしていた堺雅人は全身が映っているときの頭の小ささ、首の長さなどのバランスが画面の中でとても映えるが、ストーリーのポイントとしてやたらと出てくる愛想のいい（とされている）笑顔は微妙なレベル。不愉快ではないが、あまり若さを感じさせない。また、大阪弁が付け焼き刃に聞こえるのは気のせいだろうか。脇の小市慢太郎の自然さと比べると違和感がある。是非ともネイティブに確認してみたい。 　一方、真中瞳は明らかにまだ未熟で、特にセリフ回しには難がある。それを見越してか、そもそもセリフが少ないし、冒頭は自分の身に何が起こったか分からない無表情のシーンが続き、それを目立たせない工夫がされているように思える。

　しっかりとした演技と、それでいて笑いも誘える実力派の役者が脇を固めていて、主役の演技をフォローしているこの作品、スガシカオの歌から取られたタイトルでかなりの部分救われているような気がする。その意味では（不倫関係を扱っているのにラブシーンの１つもないし）アイドル映画と言えるのかも知れない。少々トウが立っているけれど。