[コメント] もののけ姫(1997/日)
一定の豊かさがなければ、平等な社会、暖かな社会は築けない。しかし、その豊かさを全ての人々が求めれば、自然は崩壊する。この矛盾の中で人は戦い続け、それでも愛を求めてきた。日本思想界の並はずれた到達点を象徴する秀作。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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平和な国から戦争反対を訴えるだけでは戦争は止められない。豊かな国から平等を訴えるだけでは南北問題は解決しない。
権力に従えられ、無限の生産を強いられ、世界に禿げ山を生み出した鉄を造る人々。その従順な人々は、炭に代わる石炭を見出し、産業革命をスタートさせ、石炭に代わる石油を、鉄に代わるプラスティックをと次々新たな富を地下から掘り起こし、豊かさを求める人々に支持された圧倒的な権力に捧げた。石炭は、石油は使えば二酸化炭素と化し、温暖化を招き、大地は海に沈む。こうして、現在の破滅秒読みの世界が生まれた。限られた土地と残された資源を巡り恐らくは壮絶な最後の戦いが繰り広げられるのであろう。
しかし、この作品で語られる文明の米「鉄」を造る人々は、並はずれた誇りを持ち、無限の生産を強いる権力を自ら武装し命を張って戦う退ことでけようとする。もしも、その試みが成功していたなら・・ この作品は、滅び行くこの世界の歴史に捧げられた壮大な希望のifである。
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