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[コメント] 悪名(1961/日)

座頭市』の市や『兵隊やくざ』の喜三郎に比べてあっさり風味の勝新@朝吉よりも、ケンカっ早くて調子が良くて軽そに見えて、でも惚れた漢(おとこ)にゃトコトンついてくで!ってな田宮二郎@モートルの貞の可愛いこと!
movableinferno

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







吉岡の親分に返した杯を受けて欲しいと手をついて頼んだところを朝吉に「猿芝居みたいなことやめてんか」と言われていきり立った貞、勢い朝吉と睨み合いになったところを、フッと「仲良しの兄弟でええやないか」と言われたときの緊迫→豆鉄砲→男泣きと移り変わる表情の愛らしさに、観ているこちらも思わず同じ顔になってしまう。田宮二郎といえばクールなスケコマシの印象が強かったけれど、こんなに愛嬌のある、軽みのある芝居をする人だったとは。やっぱり北大路欣也の貞より断然良い。

その田宮二郎をはじめとして、大阪弁の達者な役者による台詞回しが耳に心地良い。「何言うてケツかんねんわれどつきまわしたろか」が「なーンてけっかんねヮレどっきまーしたろか」に聞こえる。この軽快なリズムに乗って台詞のやりとりがテンポよく進む前半は特に面白く観た。チャキチャキの江戸っ子の勝新も、そうは思えないほどの巧みな河内弁を披露する。水谷良重だけはどうしても大阪弁ができなかったので、仕方なく原作にはない設定の「博多生まれ」にしたのだとか。(03.12.13@シネ・ヌーヴォ)

(評価:★4)

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