「居場所がない」と感じるのは、イーニドのお年頃だけじゃない。シーモアもノーマンも居場所はなく、ずっとずっと待っていた。本当に待ってた？「変わること」が怖くて、待つだけ、自分から変わろうとはしない。

どんどん変化していく周りの状況に、彼女は独り取り残される。来ないはずのバスを待つノーマンに彼女は言う。「あなただけが拠り所。必ずここに座っているから・・・」

変わらないのも自分、変わっていくのも自分。

〜ストンとした、美しいラストについて。〜

ノーマンがバスを待つ姿は、私には亡くした妻を待っているように思えた。だから、ノーマンの乗ったバスは「あの世」に行ったんだなぁ、と。

その後イーニドも、バスを、何かを待つ。

普段ハンドバッグさえ持たない彼女が、荷物を持ってバスに乗る。そう、あのバスはノーマンのバスとは行き先が違うのだ。

変わらないのも自分、変わっていくのも自分。ラストで彼女が自殺したとは思えなかったから、とてもとても美しいラストだと思った。