矢口史靖監督の原作で、とみさわ千夏さんが作画し、ビッグコミックスペリオールに連載されていた「プリーズ・フリーズ・ミー」が好きです。17歳のとき事故で死にかけ、夫の手で冷凍保存された「陽子」が、17年後に覚醒し、事故直前に産んだ自分の娘「風子」の同級生として高校時代をもう１度送るという物語ですが、この荒唐無稽な設定が、とみさわさんの緻密にしてかわいらしいオトボケ味もある絵柄とマッチし、70〜80年代の風俗も織り込まれた楽しい作品でした。今まで矢口監督の映画は１本も見たことがなかったのですが、これを矢口監督自身の手で映画化したらどんな感じかなあと、いろいろ思いめぐらせたりもしました。

……結論。頼むから映画化しないでほしい、と思います。どこまでも前向きな陽子や、事なかれ主義だけれど、女子高生らしい複雑な意外性をたっぷり持った風子を、嫌みなく生き生きと演じられる若手女優が全く思い当たらないし、何より、陽子の夫・光夫役は、多分竹中直人あたりに振られちゃうんだろうなと考えると、相当萎えます。