[コメント] ファイナルファンタジー(2001/日＝米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
ＳＦなどの非現実の世界を描く際に、まずやらなければならない事。それは世界観や設定を観客に説明する事です。それも口頭によるお仕着せの説明ではなく、エピソードで説明する事が重要なポイント。「ファイナルファンタジー」では、アキの目線を通して地球の現状やスピリッツやガイア論を観客に伝えています。シドの日記のくだりは説明的で褒められたものではありませんが、それでもある程度は世界観をエピソードで伝える事に成功していると思います。
アキの夢による謎も面白い設定です。徐々に夢の時間軸が進むに連れ、観客もアキと共にファントム（エイリアン）の謎を解き明かせる快感がそこにはあるからです。しかし同時に危険性をはらんでいる場面でもあります。ファントム同士の戦闘、母星の爆発、魂の隕石、そして憎しみ･･･。我々は過去のファントムの状況を垣間見る事が出来ますが、この映像からは憎しみまでは理解できないのです。憎しみはこの作品のキーポイントであるはずですが、この映像だけで全てが伝えられるとは思えません。製作者のＣＧに対する奢り（ＣＧ映像で全てが伝えられるという奢り）でないと良いのですが･･･。
そして憎しみと対峙するキーポイントが、地球のガイアと優しさのスピリッツ（精神）。映像ではファントムの憎しみを”赤”、そして地球のガイアとスピリッツを”青”で描いています。この対比映像は美しい。”青”は地球の生命を表す色。地球を表現するには最も適切な色ではないでしょうか。本作では人間が死ぬと青い映像が身体から離脱します。これは魂を映像化したものなのですが、ファントムの映像も同じ形態という事さえ見逃さなければ、すぐにファントムも魂だとわかる仕組みなのです。なかなか面白い映像表現だと思います。
次は伏線と人物描写。ラストでアキが８つ目のスピリッツを手に入れたシーンは理解出来ましたか？ＤＶＤの特典映像の解説によると、ファントムによる侵食をアキの妊娠している子宮が融和波動により浄化してしまったのだそうです。せめて事前にアキが妊娠している事を伏線として挿入して欲しかったです。いきなり新しい生命が誕生したと言われても、観客には寝耳に水だと思います。これでは、あまりにも観念的すぎて観客が置いてきぼりなのです。
人物では、ライアン、ニール、ジェーンのディープアイズのメンバーの描写が足らないのではないでしょうか。ライアンの芯の強さや、ニールとジェーンの恋愛関係が、もう少し描写されていれば憤死も面白みがあった場面になっていたに違いないと思います。
設定では、アキのブラジャーが鋼鉄の特別製品だということも全く描かれていない為、体内に侵食したファントムの映像や、銃で撃たれても平気だったという意味が伝わりません。
色々と問題のある作品ですが、個人的には好きな作品です。ガイア論を説いただけに過ぎないと言ってしまえばそれまでですが、地球自体が生命体、生きとし生けるものは全てスピリッツを持っている、という考え方が非常に面白かったし魅力的なのです。ＦＦ�擦寮瀋蠅汎韻犬任垢�、また違った味付けをしているところが見ごたえがあった要因ではないでしょうか。そしてこの作品は１回ではく、２回、３回と観ると、ジワジワと面白さが実感できる作品なので、理解できない部分があったら是非皆さんも繰り返し観て下さい。
世間ではＣＧばかりに話題が登りがちの作品ですが、意外と内容も面白みのある作品だったということを伝えてレビューを終わりたいと思います。
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