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[コメント] ひまわり(1970/伊)

どっちかというとジョヴァンナ(ソフィア=ローレン)より、ソ連でジョヴァンナに迫られて逃げる男性の気持ちの方により同化してしまいました。あの顔で迫られると思うと、ちょっとどころか凄く怖い。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 戦後を描いた作品というのは映画では数多く作られている。そのジャンルでかなり多いのは女性を主人公として、帰らぬ夫を待つ。これは一つのジャンルとして確立した感がある。それらの作品の中で最高峰の呼び声が高い本作。

 ところでこの手の恋愛作品で一番大切なのは何かと言われると、多分主人公に自己同化出来るかどうかにかかっている。

 ここでのソフィア=ローレンは実に激しい愛憎感情を持った女性を演じているが、彼女は顔立ちがはっきりしているだけに感情を表した時、表情がきつめに感じられる。それでどうもあの濃すぎる表情と、激しい感情の幅にちょっとついていけなかった感じ。少なくともあの迫力ある顔で迫られると、哀しみよりも何か逃げたいと思ったりして…結局そこで主人公のジョヴァンナに同化できなかったため、ちょっと敬遠気味。どこでもさかってるジョヴァンナとアントニオの描写もねえ。あれがイタリア人の情熱かい!

 それに、雪国生まれの私としては、あのシベリア行軍がどうしても寒く見えなかったし…多分それ程本当に寒い所で撮ってなかったんじゃないかな?それに人物描写の構図は決して悪くないけど、光の使い方が下手すぎ。

 勿論、良い所も山程ある作品。特にあのひまわり畑で、マンシーニのテーマが流れるシーンは圧巻。「桜の下には死体が埋められているに違いない」というのは梶井基次郎だが、ロシアではひまわりの下に死体が埋まってると言うことか。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)水那岐[*] ina

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