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[コメント] メメント(2000/米)

素晴らしき着地(=飛翔)
ハシヤ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







はじめに言っておくが、これは評論ではない。

銀幕上で起きた3つの物語について、私自身が忘れない為にこれを残す。

第1の物語。本来語られるべき復讐の物語。そして実は全く語られていなかった物語。

第2の物語。「私」が第三者に利用される物語。この物語の終点で「私」は「第1の物語」の真相を知らされることになる。

第3の物語。「私」を「私」が自ら利用する物語。この物語は「私」が「第1の物語」の真相を知らされた事に発端する。

「第2の物語」と「第3の物語」は「第1の物語」の真相で繋がっている。それぞれの終点と起点で。そしてそれぞれの物語はその真相に向かって(一方は順回しに/一方は逆回しに)同時に進行し、その時それは双方「第1の物語」であるかのように語られる。なぜなら以上の3つの物語は「私」にとっては同じ物語でしかないからだ。3人のジョンGを復讐の為に殺す物語。それが妻の為、他人の為、自分の為のどれだろうが知ったこっちゃない。いや、「私」は知らない。そして観客も。

しかし観客は、この物語がいつか「折り返し点」に辿り着くことを知っている。そこに何が待っているのか。始まりか?終わりか?真実か?そして分からぬまま辿り着き知る。そこは終点であり起点であり、語られるべきはずだった物語が唯一語られる場所であり、今まで1つの物語だと思っていたものが3つ(もしかしたらそれ以上)の物語だったと分かる特異点だ。メビウスの繋ぎ目だ。私達はそこに導かれていただけだったのだ。

これは決してトリッキーな「手法」ありきの物語ではなく、物語を有効に語るための「手段」を手に入れた物語だ。

えーっと… それからなんだっけ?

(評価:★5)

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