まあコメントはReviewに引き込むためのトラップだったわけで…。もちろんホントにそう思ったんだけどね｡

この映画の新聞や雑誌の宣伝のところにおちまさとの試写での感想を載せていたのは彼が｢２４人の加藤あい」で“リアル”という作品を撮ったからだろう。時間軸を切り取って並び替えるという手法自体はそう珍しいわけではない｡だからこの作品の最大の魅力は脚本にあると言っていいだろう。しかし僕が思うにこの作品は時間の並び換えというまさにその部分から出発したのではないかという気がしてならない｡つまり脚本がありそれを最も効果的に描くには、というところからこの手法に行き着いたのではなく、この手法を最大限に生かすにはどのような脚本がいいのか、というところからこの脚本に行き着いたのではないだろうか｡事実は違うかもしれない｡しかしそう思えてしまうものがこの作品から感じられた｡そう考えるとこの作品から感じる、何と言うか、“統一感”といったものに対して納得がいくのだ｡

余談だがジョー・パントリアーノとキャリー･アン・モスの二人が再び共演している点が『マトリックス』好きとしては嬉しかったわけだが（残念ながら二人の絡みはなかったが）、ジョー・パントリアーノ扮するテディに対してガイ・ピアースことレニーが“He is the one.”と言っているシーンには思わずニヤリとしてしまった｡もし脚本家が意識していたのならば何ともニクいと言わざるを得ない｡