小学生の頃に松田優作の『野獣死すべし』を観ましたよ。だから、エグい松田優作というものに免疫があったとは思うのです。本作はそういったエグ味が抜けて「お、新鮮」と思っていたら、あのラスト。妙に心にひっかかりました。子供心に「これって、この映画的にいいのか？」と自問自答してみたり。何て言うのか、愛情というよりも欲情の方が強いと思うわけで。

なぜ欲情がクローズアップされてくるのかと考えるに、薬師丸ひろ子演じる主人公が、はっきり言って発情期真っ最中なわけで、この映画は「性的に満たされない私」という文法で語られていたのです。その「満たされなさ」加減が「こども」と「おとな」の境目ということなんでしょう。だから秋川リサや中村晃子といった「おとな」はバンバンやりまくるわけですよ。「私もやりまくりたいわ！」という心の叫びが聞こえてきます。欲求不満のイライラは、長谷沼さんへ八つ当たりするわけですね。しかも長谷沼さんの「女」の部分に。

とすれば、あのラストは一応欲情が満たされたということになるのでしょうか？いやいや、むしろスイッチ入った状態で飛行機に乗るわけで、ますます悶々とするのではないかと思うわけです。

さて、清純派・薬師丸ひろ子が「オトナの世界」を垣間見るというコンセプトの映画だそうですが、自分が何より驚いたのは、清純派・坂上味和のバニーちゃん姿＆オールヌードですよ。だって、刑事犬カールですよ。薬師丸ひろ子が役として発情するよりも、坂上味和が役としてコスプレしたり脱いだりした方がよっぽど衝撃的でした。