[コメント] トレーニング・デイ(2001/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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考えたら、俺もそうだけど自分の理想とかけ離れたところで仕事をしている人がほとんど。「仕事」を続けていくには、「理由」ってのが必要になってくる=自分自身のために。そして、その「理由」を自分の「信念」みたいに押し付けようとすると、「理想」を持っている人間からしてみれば、そんな事言ってるヤツは汚れて見えてしまうもの。そりゃそうだよ、大抵が「理由」=「言い訳」なんだもの。
そこには常識とか正義とか、時には倫理さえも存在しない。それが「仕事」というものだったりする。憎くって殺すわけじゃない。「仕事なんだよ」なのだ。
アロンゾも最初はジェイクと同じ純粋な「理想」を持って犯罪者に相対していたはずだ。根っからの悪人では無い。アロンゾは仕事の出来るやつである。オフィスは自分の車であり、自分の情報屋等取引先の面倒身はよく、部下にもきちんと報酬を与える。組織人というよりは一経営者のようだ。そうやって「仕事」をしていく中で、いろんな葛藤や妥協があり、次第に形作られた「アロンゾ様」であり「俺の帝国」であったのだろう。
誰でも少なからず、自分の仕事の中で恩恵をこうむった事はあるのではないか。 金銭・人間関係・物品・情報・・・形は様々とは思うが。 足を踏み入れたら殺されるような場所に入っていかなければならない者に、見合う恩恵ってどれほどのものが妥当か、俺には検討もつきやしないし、責められない。
さて、俺自身もジェイクに身を置き換えて、自分の身の振り方をシュミレーションしながら見ていた。この上司についていって大丈夫なのか、この職業でいいのかか、仕事とプライベートはどっちを重視するのか?いや両方だ・・等。ジェイクは次々と決断を強いられていく。あぁ、俺なんてすぐ妥協してしまいそうだなって感じだった。
やがて、エンドクレジットが上がって何ともすっきりしない気分となった。虎の威を借りてえばっているヤツが、最期ああいう形で死んでいけばハッピーエンドだったんだろうが、アロンゾは俺の弱い部分を強みに変えた象徴的な存在なのだ。故にあの無数の銃弾を受ける姿に、自分自身を投射していたんだろうな。。。
アロンゾは言いました。「悪いやつを殺して何が悪いんだ」
銃口向けてジェイクは思った。「アロンゾ殺せば俺も同類」
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