[コメント] ロック・ユー!(2001/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ロッド・スチュアートが“労働者階級がイギリスでビッグになるにはサッカー選手か、ロック・アーティストになるしかない”というようなことを言っていた。階級闘争というUKロックの切実な歴史をうまくディフォルメした点に関しては、上手さを認めざるをえない脚本である。主人公最大のピンチになるはずのお姫様に対する階級の暴露が極めて調子よく処理されていたのも、結局は王族に助けられるという妥協的な展開も、チョーサーによるライブ感覚のアジテーションの妙やベタながら丁寧な仲間や父親の描写などにより相殺されていたと言っていい。できることなら、ともに「ウィ・ウィル・ロック・ユー」したかった。
何が気に入らなかったかと言えば、ライバルの扱いであり、競技とりわけ格闘技の観点から見れば、この映画は0点である。本当に、アダマーを貶め出した辺りからすこぶるくだらない映画になってしまった。こういうヒールを貶めるだけで終わってしまう物語には、何の魅力も感じない。考えても見て欲しい。主人公が活躍していた場はあくまでもたかだか競技の場であり、それに対し実戦に出ていたアダマーが何故あそこまで卑屈に描かれなければならないのか?ミルコを見よ!同じ凄腕でも、戦場を経験している格闘家は本当に強い。リングの上で一人競技ではなくサバイバルを展開するから、やたらめったら強い。しかし、この映画で、戦場経験者はたかだかスポーツ選手に対して貶められて描かれるのみである。
或いは、主人公がエドワード王子に対しては競技者としてのプライドを貫いておきながら、お姫様に負けろ言われて負けたところも気に入らない。野暮と言われても、気に入らないものは気に入らない。プライドを捨てるのは勝手だが、対戦相手に失礼だと思わないか?一緒にやってきた仲間はどうなるんだ?もとい、ロッキーならたとえどんな理由があろうと、一度立つと決めて立ったリングから退いたりしない。そして、エイドリアンなら自分への愛を証明するために負けろだなんて戯れ言は言わない。
そう、こういう映画を観ると、『ロッキー4』がいかに清潔な格闘スポーツ映画だったかがわかる。ドラゴが貶められて描かれることは最後の最後までなかった。いや、ドラゴは最後の最後でとても美しい選手に昇華されていた。パンクをトレースしアダマー=上流階級に唾を吐いて終わるちんけな結末だが、スタローンなら両者の垣根を叩き壊し、お互いを認め合うようなラストを描いたに違いない。
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