[コメント] タイガーランド(2000/米)
バズはこの世に実在しない天使のような存在だった。ドキュメント調の映像に寓話のような主人公がアンバランスの妙。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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軍隊は殺人マシーンを作り出すところだろうから、成りきれない者は落伍する。その落ちこぼれたちに優しい手を指しのべるバズは現実離れしたタフガイで、彼の葛藤も描かれるもののリアルには伝わってこない。主人公なのに、弱さを見せない彼より、次々と破綻をきたす周りの二等兵たちの「人間らしさ」が痛々しい。
戦争で冷徹な戦闘のプロとして人殺しに快楽を見いだすのも人間なら、ついていけずに落ちこぼれていくのも人間。どちらも精神に異常をきたしているのには違いはないかも。自分なら当然後者。見ていて自分が追いつめられていくようで凹んだ。
こういう側面にスポットを当てた映画は少ないが、劇中にも出てきたように「ジョニーは戦場へ行った」はすぐに思い出される。(しかし、あんなの読んでたらすぐに泣きが入るぞ)あの映画は救いのない迷宮に連れ込まれたラストだったが、こっちはいちおう爽やか風なラストではある。
文句をいうとすれば、ドキュメント調にしては寄りが多くてわざとらしい手持ち撮影と、スーパーマン的な主人公のキャラ設定だろう。そこが個性にもなっている低予算の小品だが。
この監督、大作もやりながら「フォーリンダウン」「8mm」などヘンな映画もやってて、いわゆるハリウッドシステムからちと逸脱ぎみ。彼自身もバズを目指しているのかもね。
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