[コメント] ジェヴォーダンの獣(2001/仏)
映画を見終った人むけのレビューです。
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最近フランスのアクション映画が日本でも放映されることが多くなった。映画に限らずフランス製の作品を鑑賞する際に注意すべきは、伏線や細かい設定は無視して純粋に今観ている画面を楽しんで欲しいと言うこと。多分に設定マニアの気がある私自身、何度となく駄目映画なり駄目小説なりの烙印を押してきたが、今はむしろその馬鹿馬鹿しさと画面の美しさを素直に楽しむようにしている。
そう言う目で見るなら、この作品は抜群に楽しめるだろう。スロー・モーションと加速を上手く取り入れた殺陣シーン。美しく残酷で、そしてエロチックな死体の描写。娼館の女性達の明るく美しい姿。そして何と言ってもこの映画を特徴づける「泥」の描写が素晴らしい。決してきれいではない、泥のスプラッシュ・シーンは生々しくて見所。
一方、「獣」の描写は今ひとつだった。どんなに見苦しくてもいいから、CG使わずに生き物がやってこそ、獣の恐ろしさがあるんじゃないかな?
ストーリーはあくまでアラに目を瞑ればかなり面白い。平和主義者の自然科学者フロンサックが実は一番強いと言うのは冗談みたいだが、結構熱くなれる(何となく日本のアニメ風な強さだけど)。極めて画面では宗教的に作っていながら、実はこれほど宗教から離れた物語も珍しい。博愛主義のようでどことなく差別的な描写もあるな。
あとやっぱり俳優だろう。ヨーロッパを代表するスターを集めて作っただけに描かれ方が良い。ベルッチは謎めいた美女役を見事にこなしていし、カッセルは本当にこういうどっかにイッチまった役が似合うわ。マニ役のダカスコスもいい味出してた。
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