[コメント] マルホランド・ドライブ(2001/米=仏)
ナオミの夢/ベティとダイアン
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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彼女の切迫した切ない想いがズンと迫ってくるのも、前半の夢(私はそう思っています)があったればこそ。ブロンドの少女が記憶喪失の友人と謎を解く冒険に乗り出す、そのジュヴナイル小説のヒロインのようなときめきスマイルが、友人との同性愛での受身な立場(現実の世界では役割が逆のように見える)が、彼女の無意識の自己救済と映って悲しい。また、それは別の言い方をすると、現実では嫉妬にかられ恐るべきことを企てながら、夢の中で無意識的に自己を正当化してしまうという「悪意」であるとも言える。そしてそのような悪意が噴き出してくること自体がまた悲しい。
悪意が、何かのきっかけで生じた通俗的な営みの裂け目から顔を出す。それに現実の中で、無意識の中で、襲われ、怯え、屈服し、同調し、対抗しようとするヒロインの意識の循環。ラストの殺害の実行(現実)が冒頭のシーン(夢)に繋がっていくようにも見せているのは、それを象徴しているように思う。そんな意識の滞留がどこかの空間にねっとりとしたクリームのように存在しているという想像も楽しい、なんてことを言っているのはすでにリンチに毒されているのですな。
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