[コメント] ブラックホーク・ダウン(2001/米)
混乱を極めた市街地戦の再現としては秀逸の出来。政治的背景・アメリカ兵の生い立ち・ソマリア側の視点などを多角的に理解するには原作の助けがいる。
感動的なドラマがあるわけでもなく、美女と兵士のロマンスがあるわけでもない。混乱した市街地戦の果てに、反戦的なメッセージも単純なアメリカ的ヒロイズムの現出も感じなかった。戦争の激烈さを終始見せつけられ呆然とするだけ。明確なメッセージ性はなにもない。そのへんは観客の裁量にまかせているのだろうか。
観客に判断をゆだねるというのは、悪くいえば丸投げで片手落ちの感もある。しかし、傑作ノンフィクションである原作を読むと、これを二時間ていどの映画ですべて表現するのは困難であることもわかる。
どこをどう切り取って映画にするのか。難しい問題だ。映画にはないメッセージ性や広い視野が原作にはあるし、戦場の臨場感は映画が勝る。『ブラックホーク・ダウン』はそういう意味で不完全な映画ではあるが、市街地戦の再現という一点においては秀逸である。
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