ジェームズ・キャメロンが最も乗っていたSFアクションの最高峰といっても過言ではない傑作である。そして演出の配置効果が絶妙な施しとしてこの作品を高らかに押し上げている。まずは、T-1000のキャラクター造形とロバート・パトリックというハマリ役をキャスティングした功績。今でもフザケた走り方の代名詞として「T-1000走法」が健在なくらい強烈なインパクトを実現したのは素晴らしいアイデアである。また、アーノルド・シュワルツェネッガーを前作のヒール役から１８０度転換でスーパーヒーローとして焼きなおすアイデアも秀逸であり、エドワード・ファーロングを発掘し、リンダ・ハミルトン、シュワとの三者間で疑似家族を形成していく件の設定も本作の深さを決定的なものとしている。さらにロケーション設定も劇的な舞台空間を生むのに際してとてもよく工夫されており、フラッシュバックとして語られる終末イメージの挿入はミステリアスなその架空世界の信憑性を飛躍的に高めている。重ね重ね世の凡百SF作品は、本作を神棚に祀り上げ日夜模倣に励むべしとでも言いたくなるくらい高度に達成した不世出の傑作である。