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[コメント] キューティ・ブロンド(2001/米)

コメディ映画としてはそこそこ笑えるし、エル・ウッズ役リーズ・ウィザースプーンの多彩なファッションも楽しめて不満はないのだが、裁判シーンは近年稀に見る最悪な出来。
わっこ

**ネタバレ注意**
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自分をふった彼氏の心を取り戻すため、彼氏のいるハーバード大法科へ進学した美人女子大生のコメディ映画。

コメディ映画としては、そこそこ笑えるし、エル・ウッズ役リーズ・ウィザースプーンの多彩なファッションも楽しめて不満はないのだが、裁判シーンは近年稀に見る最悪な出来。とにかく、主人公エルが勘と当て推量だけで裁判を進め、それが御都合主義を通り越して、見事なまでにうまくいってしまうのだから、観ていてバカらしくなってしまう。

裁判シーンでの問題シーンを幾つかあげると、

1、エルが被疑者と不倫関係にあったとするプール係の男をエルの靴の種類を一目で当てたことから、ゲイだと判断しそれをエルの仲間の弁護士が尋問で証言させるのだが、はっきり言って、ゲイだから女とは寝ないとは限らないし、誘導尋問に近い形で証言させているので、証拠になるとは思えない。

2、被疑者の殺人を見たと証言する被疑者の娘がパーマーをした後でシャワーを浴び、そのため、銃声がしたのは聞かなかったと証言したことから、エルがその矛盾をつき、裁判で勝利をつかむのだが、そんな証言は当然、娘のアリバイなのだから、警察の供述調書にも残っているわけで、エルが気づく前に他の者が気づいてもいいはず。また、裁判記録を何度も読んでいるエルが裁判に入るまで、その事実に全く気づかないのも不自然。

3、被疑者は言えないだけで実際にはアリバイがあったのだから、娘が被疑者が父親を殺したと証言するには後々、覆されるリスクがあるのに、なぜ裏工作もしてないのに、そんな嘘の証言をしたのかが疑問。プール係が殺したと言った方がリスクが少ないのではないか。

また、映画の目的も今ひとつはっきりしてこない。当初はエルは自分の彼氏を取り戻すためにハーバード大へ入ったのに、いつの間にか外見で判断する、まわりの冷たい視線を蹴散らして、弁護士になるまでのサクセス・ストーリーになってしまい、テーマが曖昧になってしまった。元々、エルは法律家になりたい夢があったわけではなく、単に自分の意地とプライドのためだけに勉強してきただけなのに、なぜ最後に弁護士の道を選んでしまうのかがしっくり来ない。コメディ映画で通すなら、せめてセルマ・ブレア演じるヴィヴィアンとの間で最後まで恋の争奪戦をやって欲しかったところ。最後に仲良しでは面白味がない。

(評価:★1)

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