[コメント] 私は貝になりたい(1959/日)
確かに賢明ではなかったかもしれない。
確かに豊松さんは、大本営が発表する戦勝ニュースを喜んで聴いていたし、出征する隣人を万歳で送り出した。勝つ見込みの無い戦争に反対してはいなかった。捕虜米兵を銃剣で刺したのも事実だし、どうしてそうせざるを得なかったのか、事情を論理的に話して裁判官を説得することもできなかった。
客観的にみれば「無実」ではないし、現代に生きる我々が彼のとった行動を「賢明でなかった」と言ってしまうのは容易い。
だが、もし自分があの時代に豊松さんと同じ立場にあったとして、「賢明な」行動をとることができたであろうか?そんな自信は微塵も無い。
あの時代を生きた、ごくごく一般的なたくさんの人々が置かれていたやるかたない状況を、この映画は現代に遺し伝えてくれている。我々にできることはただ、この貴重な遺産を伝え継ぎ、二度と「賢明でない」行動をしないように誓い誓わせることしかない。
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